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デジタルアーカイブス

2006年

序─文明を記録する新たな手法と伝承

人類の文明と歴史は絶えず前進を続け、それぞれの時代に記録、保存するに値する事物があります。悠久の歴史を有する中華文明は豊富な文物を残しました。古くから国立故宮博物院は、それら人類文明の精華を多数所蔵することで世に知られてきました。そして今、現代のデジタルテクノロジーの助けを借り、文書や図像などの資料を含む貴重な文化遺産をデジタル化して設置し、コンピューターで管理することによって、本院所蔵文物の永久的な保存と使用が可能になることを願っています。

文明の宝庫

民国14年(1925)、北京の清宮跡に故宮博物院が設立されました。民主時代の到来の証である故宮博物院は、人類の歴史と文明の宝庫という新たな使命も担うことになりました。不安定な社会情勢の中、膨大な数の貴重な文物は、幾度も移転を余儀なくされました。民国54年(1965)、豊かな自然に恵まれた台北市外双渓に国立故宮博物院が設立され、貴重な文物はついに万全の設備を有する収蔵場所を得て公開展示され、全世界の中華文化の愛好家がともに楽しめるようになったのです。

デジタルアーカイブス─科学技術と芸術の出会い

ここ2、30年来、デジタルテクノロジーの発展には目を見張るものがあり、博物館に常に新しい衝撃をもたらしています。そのため、全世界の人々の生活や知識に関するツールに大きな影響を与えるこの技術をどのように利用して、文化や知識がつまった博物館をどのように運営していくかが、近年、博物館界では重要な課題の一つとなっています。所蔵品資料のデジタル化は、この趨勢を受けての基礎的な作業の一つです。本院では、民国90年(2001)から5年に渡るデジタルアーカイブス計画を開始しました。翌年(2002)、「国家所蔵品デジタル化特別計画」を推進する主な機構計画の一つとなり、計画実行が始まりました。

宝庫の共有

本機構計画は主に三つの文物所蔵部門─器物処、書画処、図書文献処の所蔵品データを主な内容とし、そのほか、出版組、登記組、科技室に既存の文物関連データ─フィルム、X線フィルム、一部文書などがデジタル化されます。資料センターは計画の管理や協力、調整、技術面、またはシステム面での支援を行います。また、本計画実行初期には、中央研究院計算センター、情報所、デジタルアーカイブス国家型科技計画メタデータチームなどの機関にご協力いただきました。

最先端の科学技術と計画実行スタッフ

本計画は、民国97年(2008)にほとんどの所蔵文物データのデジタル化が完了する予定です。それらはインターネットを通して全世界の利用者に提供され、博物館の知識の伝播や交流、教育の普及、商業価値の産出などの目的が達成されるでしょう。故宮の文物は、物理的な距離や国の内外を問わず広められ、複製が全世界に普及するのみならず、真蹟もまた同じく海を越えて届けられ、国際的な文化交流の進展も期待できます。国外で開催される展覧会は故宮にとって非常に重要です。まず文物の安全が国際法によって保障されるかどうかを確認してから、借用展開催が可能となります。

故宮は文物を世界に広めたいと願っています。それと同時に世界を故宮に迎え入れたいとも考えています。これが故宮のもう一つの願いですが、互いに得るものがあり、相互に借用展を開催できる場合にのみ、故宮は文物を旅に出します。インターネット網が全世界に張り巡らされている現在、故宮の願いが実現され、科学技術の活用によって文物の情報を広める道が切り開かれたのです。故宮はすでに「境攬故宮(DVD)」を製作し、デジタルアーカイブス計画に着手しました。国際的な情報網を通して、故宮の文物は全世界に広められます。そして、故宮は時代とともに歩みを進め、データを共有しともに分かち合うという目標に向かって邁進しています。

行政院が推進する「2008年の挑戦:国家発展重点計画─デジタル台湾計画」に応じ、本計画は本年度、文物のデジタル化、高解像度画像ファイルとメタデータの設置作業を進めるほか、デジタル化の標準的手順の制定、デジタルアーカイブスシステムの統合などに力を入れ、故宮文物の画像ファイルや解説文データベースも設立し、将来的なサイトや光ディスクの設置、付加価値サービスなどを容易にし、デジタル産業の発展に役立てたいと考えています。

〔本計画の主な目標〕

  1. 最新の国際基準に合致した本院精選文物のメタデータ、高品質のデジタル化画像、各文物の解説文のデジタルアーカイブスシステムを作成。文物の鑑賞や教育、研究、管理、出版などのサービスに役立てる。
  2. 最新の情報技術を用いて、本院文物画像データベースを作成し、国内外の人々がインターネットを通して中華文物を鑑賞できるようにする一方、芸術関連産業の付加価値的な活用にも提供する。また、高品質の文物画像ファイルを作成すれば、文物を繰り返し撮影せずともよく、文物をより安全に保管できる。
  3. デジタル化された文物の付加価値的な利用を進める。各種のテーマに合わせた各種書籍や光ディスク、ビデオ、カード、サイトなどを作成し、国内外の人々が故宮文物を多様に楽しむ機会を増やし、中華文化の宣揚に役立てる。
  4. デジタルアーカイブスデータベースを利用して本院文物の整理を進めるとともに、管理の一致を図る。将来的な展覧会の共同開催、テーマごとの文物の選出、文物の保全や修復などに役立てる。
  5. 本院文物のデジタル化ファイルの作成、撮影、執筆、コンピューターとインターネットなどの科学技術の大成は、デジタル化された文化遺産の創造であり、文化・芸術分野の科学技術に関する国際的な地位を確立できる。

    本計画は文物鑑賞の簡便性を促進させるほか、文物の著作権保護も強化できます。文物のデジタル画像にウォーターマークを入れることによって、画像検索の管理システムを確立し、インターネットを利用した電子商取引を普及させ、デジタルアーカイブスの適切な使用を促進するものです。

民国95年度(2006)各計画名称及び責任者:
       計画名称                                      計画責任者
計画1   各計画の整理統合                                林曼麗副院長 
計画2   故宮器物デジタルアーカイブス計画                      陳慧霞科長兼副研究員 
計画3   故宮書画デジタルアーカイブス計画                      劉芳如編集員兼科長
計画4   故宮清代档案デジタルアーカイブス計画                   馮明珠研究員兼代理処長
計画5   故宮善本古籍デジタルアーカイブス計画                   呉璧雍副研究員 
計画6   故宮文物画像ファイルの設置及び管理計画                 徐孝徳組長 
計画7   故宮文物デジタルアーカイブス活用システム設置計画          林国平主任兼副研究員 
計画8   故宮文物デジタルアーカイブスインターネットシステム設置計画     陳健智副研究員 
計画9   故宮文物保存・修復記録システム設置計画                 岩素芬副研究員兼主任

民国95年度(2006)各計画作業内容について:

〔計画1〕各計画の整理統合

  1. デジタルアーカイブスに参与する各機構との交流及び対外調整。
  2. 院内各計画間の調整及び実施内容の評価。
  3. デジタル化の成果の普及とシンポジウムの主催、または共催。
  4. 作業進度と予算執行効果の監督及び指導。
  5. 国際会議、論文発表などに関しての審査。

〔計画2〕故宮器物デジタルアーカイブス計画

  1. 文物の基本データの設置(磁器、珍玩約1万2千点/暫定)。
  2. デジタル画像の撮影(約7,000-8,000点/暫定)。
  3. 文物の解説文執筆(約7,000-8,000点/暫定)。
  4. 器物デジタルアーカイブス検索データの校正と公開の継続。
  5. 精選品数点の3D映像撮影。

〔計画3〕故宮書画デジタルアーカイブス計画

  1. 近現代(清代中期~民国)書画名品基本データベースの設置。
  2. 近現代(清代中期~民国)書画名品イメージファイルの設置。
  3. 本院所蔵作品の款識印記データ設置の継続。
  4. 書画家人名、書画辞語など関連データの増補。
  5. 所蔵書画目録ファイルの設置。

〔計画4〕故宮清代档案デジタルアーカイブス計画

  1. 「軍機処档奏(文書)」イメージファイルデータベースの設置。
  2. 「軍機処档奏(文書)」目録ファイルデータベースの設置。
  3. 「軍機処档奏(文書)」上奏者名ファイルデータベースの設置。
  4. 本院所蔵「清代文献档冊」目録ファイルデータベースの設置。
  5. 設置の標準化─档案記載フォーム(メタデータ)の標準化。
  6. オンライン支払いシステムの立案。

〔計画5〕故宮善本古籍デジタルアーカイブス計画

  1. 本院所蔵「善本古籍データベース検索システム」の公開と保全。
  2. 「善本古籍画像ファイルデータベース」の設置。
  3. 「善本古籍データベースメタデータ検索目録」の設置。

〔計画6〕故宮文物画像ファイルの設置及び管理計画

画像のスキャンとファイル作成:画像データを用いて各国博物館と交流

〔計画7〕故宮文物デジタルアーカイブス活用システム設置計画

  1. デジタルアーカイブス情報システムの設置(文物倉庫管理システム最終版機能拡張)。
  2. デジタルアーカイブスシステムのハード・ソフトウェアバックアップ(フェイルオーバー)システムの統合及び補強。
  3. デジタルアーカイブスシステムの標準メンテナンス手順とシステムファイル及び関連マニュアルの設置。
  4. 国際的なデジタルアーカイブス会議、コンテスト、展覧会への参加。

〔計画8〕故宮文物デジタルアーカイブスインターネットシステム設置計画

  1. システムネットワークアクセス及びオンライン送受信の改善。
  2. 加増デジタルファイルの保存とオンライン保存システムの改善。
  3. フォルモッサに関する国内外史料の収集。
  4. デジタル化データの保存。

〔計画9〕故宮文物保存・修復記録システム設置計画

  1. 基本的な文物修復記録システム設置状況に合わせ、既存の文物修復画面記録の電子化を進める。
  2. 基本的な文物修復記録システム設置状況に合わせ、既存の科技室管理システムリッピング作業を進める。
  3. 文物修復記録システムの拡充、システム規格書の修訂。
  4. 文物保存・修復に関する標準的な手順の修訂と調整。
  5. デジタル化されたX線写真の設置、文物の科学分析記録のデジタル化に合わせ、文物の科学分析関連の技術を発展させる。