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明人十八学士図(琴)

明人十八学士図(琴)

軸 絹本着色
縦173.7cm 横102.9cm
故画00857

青々とした松の木が真っ直ぐに伸びている。大きく背の高い湖石が須弥座形の花台に聳え、赤や白、薄紫色の牡丹が石の隙間に植えられており、珍しい花々と奇石がその美しさを競い合っている。画中の文人は端座して友人と共に琴の音に耳を傾けようとしている。机に置かれた香炉からゆらゆらと立ち上る青い煙が、足を伸ばして立つ鶴のように見え、背景の長松とうまく調和している。これは「松齢鶴寿」という画意を示している。机の手前に琴を抱えた童僕がいて、羽扇を持った童僕も傍らに立っている。盒や瀹茗(煮茶)を持った童僕もいる。後ろには剔犀(堆朱)の盒や品茶用の磁器茶碗、珊瑚の鉢が置いてある。こうした器具の配置によって、風流な文人たちの格調高雅な暮らしぶりがはっきりと示されている。

画中の人物たちは、「四面平」の黒漆塗りの桌案(机)を囲んで座っている。天板にはめ込まれた癭木の木目模様が美しい。中央の人物は榻(寝台風の長椅子)に端座している。榻の上に置かれた靠背圈椅(丸い背もたれのある座椅子)は、肘掛の端が外側に反り返っている。画面右側に扇子を手にして玫瑰椅(明代に広く用いられた椅子の一種)に腰かけている人物がいる。この椅子の肘掛と背もたれは同じ高さで、前に座面と同じ幅の足置きがついており、すっきりとして見た目も美しい。このほか、「剔犀」(堆朱)の方形凳(背もたれのない腰掛)と腰鼓型(太鼓の一種)の磁墩(磁器製の丸椅子)もある。前者は全体に如意雲と回紋が彫刻されている。後者は側面に海棠式開光(窓に似せた装飾模様)と、鼓釘紋で飾られている。この作品に描かれた家具は全て明代中期から晩期の様式となっている。

明人十八学士図(囲碁)

明人十八学士図(囲碁)

軸 絹本着色
縦173.6cm  横103.1cm
故画00858

庭園の柳が風に揺れている。芭蕉の葉の緑と石榴の赤、奇妙な形の石筍(筍形の岩石)が彩りを添えている。手前には、なかなかよい鉢に植えられた棕櫚菖蒲含羞草(オジギソウ)があり、それぞれ庭園内に配置されている。士人たちが碁盤を囲んで剔犀(堆朱)の榻(寝台風の長椅子)と磁墩(磁器製の丸椅子)に腰を下ろしている。二人は囲碁を打ち、ほかの二人はその様子を眺めている。その表情は真剣そのものである。侍僮が幾人かいて、それぞれ如意や団扇を持って側に控えている。画面中央にある八扇摺屏(八曲屏風)は、室外で使えば風除けになる。屏風の絵は米芾を倣った山水画で、山腰にたなびく雲、樹木生い茂る朦朧とした中に茅葺の家が見え隠れする風景が描かれている。屏風の後ろには漢白玉石の欄干がある。欄板には、口を開けて舌を伸ばし、雲の中を悠々と進む龍が彫刻されている。この彫刻と方形の覆蓮式柱頭は、いずれも明代宮廷に仕えた石工の作風である。

手前に置かれた台座付きの机には、茶器や酒器など様々な食器類が置かれ、盆には冷えた果物が盛られている。童僕の一人は白磁の執壺(持ち手つきの茶壺)を持ち、もう一人が持つ黒い茶托に載せた茶碗に茶を注ごうとしている。大きな杏葉式執壺と白い茶碗の胎は白く潤った艶がある。これは明代嘉靖年間(1522-1566)以降の典型的な様式で、宝石がはめ込まれた金托、爵、執壺もまた同様である。画中の器物の配置にも気を配っており、明代の貴族階級の文士たちのこだわり─日々の暮らしの中で美を楽しんだ様子がよくわかる。

明人十八學士圖(書)

明人十八学士図(書物)

軸 絹本着色
縦173.7cm 横103.5cm
故画00856

庭園には高く真っ直ぐに伸びた桐の木があり、斑竹の欄干が巡らされている。文士は博学で古を好み、文をもって友と会した。画中の人物を見ると、一人は半跏座で榻(寝台風の長椅子)に腰かけ、筆を手に構想を練っている。隣の人物は書巻を手にうつむいてその様子を眺めている。他の人物は曲がった背もたれつきの灯掛椅(明代に一般的だった椅子)や、湘妃竹椅(斑竹製の椅子)、磁墩(磁器製の丸椅子)に腰を下ろし、書物を広げて読んでいる。童僕たちは書函と巻冊を持ち左右に控えている。画中には凝った装丁の線装書と函套、頁の版式も描かれている。

画面中央に「挿屏式」の山水画屏(衝立風の装飾品)がある。下部は抱鼓墩座(円形石彫刻製の台座)で、その前に大きな榻が置いてある。これらのほかに、天板に大理石がはめ込まれた漆塗りの桌があり、衝立の後ろには花腿高束腰方桌(下部がすぼまった方形の机)もある。机類の輪郭は全て「壺門式」で、足は立体的な雲翅紋で装飾されている。斑竹椅の造形も凝ったもので、前に足置きもついている。この種の工夫を凝らした趣深い竹製家具は、文士たちにたいへん好まれた。このほか前景に置かれた石案(石製の机の一種)には斑竹のような模様が入っている。案の上には松の鉢植えがあり、その横に置かれた植木鉢には石菖蒲が植えてある。この庭園の主は古代銅器の造形を模した鈞窯の植木鉢を選んでいる。古風で素朴な緑釉と青釉の味わい深い色合いが、庭園に一層の雅趣を添えている。

明人十八學士圖(畫)

明人十八学士図(絵画)

軸 絹本着色
縦174.1cm 横103.1cm
故画00859

緑色濃い槐(エンジュ)の木陰。須弥座形の花壇には、文石とともに青々とした竹が植えられている。庭園に巡らされた石欄干の上部は覆蓮柱頭となっており、欄干の尋柱下に浄瓶と如意雲紋の彫刻がある。これは典型的な宮廷様式で、多くが皇家の園林に設けられた。画中の文士は右手に麈尾(払子)を持ち、左手を足の上に置いている。机の上には巻帙が置いてあり、じっくりと絵を眺めながら何やら話しているように見える。隣の人物は盥で手を洗いながらそちらへ目をやり、その後ろに胸をはだけた人物が立っている。団扇を手にした人物はこちらに背を向けている。五人の童僕たちは画軸を持ち、矢筈に掛けた絵を広げている者もいる。画中の「辺角山水画」は、斧劈皴(画技の一種)と水墨でぼかしたもので、素早い筆さばきで樹木の葉が描かれている。南宋馬遠の構図や筆法を模倣した明代の作品によく似ている。

画中の家具や器物は実に丁寧に描写されている。束腰托泥式案桌(下部がすぼまり足の下に台座状の木枠がついた机類)、内側に反り返った馬蹄形の脚の下には円珠が、脚の中ほどには立体的な雲紋があり、造形、装飾ともに格別な趣がある。天板にはめ込まれた石板の自然な模様が生き生きとして美しく、家具に画意を添えている。このほか、足置きのついた玫瑰椅(明代に広く用いられた椅子の一種)は、繊細な丸い木材で作られている。簡素で見た目も美しく、風流な文人が好んで用いた椅子の一つである。家具の作りを見ると、いずれも明代の様式となっている。