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明代の家具は、材料・機能・設計の三者が互いに結び付いています。木材の柔らかな色合い、くっきりした模様、シンプルなデザイン、流れるような曲線の変化など、「精、巧、雅」がその特色だと言えます。明代文人の居室の調度品は実に趣深く、実際に使用した家具や器物には、文人たちの気品溢れる暮らしぶりや、その審美感が表れています。

「明人十八学士図」第一軸 琴

「明人十八学士図」第一軸 琴

画中の人物たちは、「四面平」の黒い漆塗りの桌案(机)を囲んで座っています。机の脚につけられた枠と机の天板四面が平行になっています。天板には癭木の板がはめ込んであり、鮮やかな木目模様がとても斬新です。大型の榻に置かれた靠背圈椅(丸い背もたれのある座椅子)の肘掛は、端が外側に反り返っています。靠背圈椅には背もたれはありますが、脚も座面もありません。画中には玫瑰椅も描かれています。玫瑰椅は背もたれも肘掛も高く、手前にある足置きは座面と同じ幅になっています。全てに円形の直材が使われ、しゃれたデザインになっているほか、用材の配色や見た目の美しさなど、読書人らしい趣が感じられます。

剔犀(堆朱)の方形凳、腰鼓型の磁墩

この剔犀(堆朱)の方形凳(背もたれのない腰掛)は全体に赤と黒い漆が塗られ、雲鉤紋で装飾されています。腰鼓型の磁墩(磁器製の丸椅子)は、中ほどが海棠式開光(窓に似せた装飾模様)と鼓釘紋で装飾されています。磁墩の底は平らで内側が空洞なので、軽く持ち運びに便利です。

剔犀(堆朱)の大榻軟屜
剔犀(堆朱)の大榻軟屜

「明人十八学士図」第二軸 囲碁

この剔犀(堆朱)の大榻軟屜(寝台風の腰掛で座面は棕藤を編んだもの)は鼓腿彭牙(脚が外側に丸く張り出している形)で、托泥(脚を載せる木枠)が付いています。榻は雲鉤と回紋、幾何紋による反復模様がぐるりと彫刻され、斜めの部分は赤と黒、緑を交互に配した線紋で飾られています。漆器家具の製作は時間も手間もかかる上、かなり高価なもので、持ち主の身分や社会的地位を象徴しています。

磁墩

この磁墩(磁器製の腰掛)は全体に淡い青釉が施され、胴に纏枝番蓮と雲紋の間を縫うようにして進む双龍が描かれています。このような「穿花龍」の紋様は雲龍の紋様より後に現われました。明代中期に流行した装飾模様です。磁墩の上下の縁は突出した鼓釘がめぐらされ、底は装飾的な花足になっています。表面にびっしりと模様が施され、刺繍した布で覆ったように見えるため、「繍墩」とも言われます。

黒い漆塗りの花腿画桌

「明人十八学士図」第三軸 書物

「挿屏式」屏風(衝立風の装飾品)の前後に、黒い漆塗りの花腿画桌(脚の装飾を施した机)と高束腰(一般に家具の収縮部分は天板の縁と牙条の間になる)の花腿方桌が置いてあります。どちらにも「壺門式」の牙条(天板下脚上部の装飾)があり、脚の中ほどと脚先は雲翅紋で飾られ、縁は陽線になっています。桌案の天板はどれも大理石がはめ込まれており、白に灰黒色を帯びた模様が見られます。机の上に広げられた山川雲霧を描いた山水画は宋代の米家山水に近く、家具に画意と趣を添えています。画中の家具のデザインを見ると、いずれも明代の様式だとわかります。

高束腰花腿方桌

この湘妃竹椅(斑竹製の椅子、斑竹椅とも言う)は凝った造りで、座面下側面に偏円形の枠がはめてあり、脚の間にある踏脚棖が足置きに繋がっています。斑竹製の家具は非常に珍しく、紫褐色の斑紋が優れて美しく趣があり、観賞価値も高く、貴族階級の文士たちに愛されました。

湘妃竹椅
足置き付きの玫瑰椅

「明人十八学士図」第四軸 絵画

庭園内には床榻(寝台)と画桌(机)が置かれています。束腰托泥式案桌(脚が直接地面につかず、木枠の上に載せたデザイン)は、馬の蹄形の脚が内側に反り返り、脚先は円珠になっています。脚の中ほどは突出した雲翅紋で飾られ、天板には珍しい模様の石板がはめ込んであります。足置き付きの玫瑰椅(明代に広く用いられた椅子の一種)は細い円材で作られており、簡素でありながら美しく、赤と黒の素材の組み合わせもまた格別で、目を楽しませてくれます。風流な文士たちに好まれた椅子の一つです。

竹を編んで造られたこの藤墩の底は四亀脚になっています。座面にかけられた錦の布が非常に装飾的です。画中に描かれた様々な椅子は、いずれも高貴な身分を象徴しており、当時の洗練された典雅な工芸品の美が反映されています。

足置き付きの玫瑰椅
藤墩