展示図書解説
稽古右文:官府刻書
文治を重んじる宋代朝廷は、図書の版行と蒐蔵に努力しました。中央機関には、図書版刻を主導する国子監という機構が置かれ、専ら儒家経典、歴代正史、及び大型百科全書を版刻し、字書・韻書・医薬書・仏経道経などの参考書の出版にも従事していました。展示品の李善注釈の『文選』は、北宋の仁宗(1022-1063)時期に国子監より刊行され、民間の知識人の閲読する模範図書でした。北宋(960-1127)末期に「靖康の変」(1126-1127)が起き、汴京(開封)に保存されていた原版は金人に奪われ、南遷政府は残存の旧国子監本を求めて版刻刊行をした外、多く刊行事業を地方政府に委託し、社会の需要に応じた書籍を印刷させました。その中、各地の司署(役所)による図書刊行量は多く、精巧で上質なものでした。例えば、展示品の『漢書』は行間が広く、字が大きく、紙と墨の質が良くで美しく、両淮(淮東・淮西)江東転運司によって覆刻された北宋版刻図書です。一方、両浙(浙東・浙西)東路茶鹽司は諸経の注と疏(注の注釈)を合刻し、北宋以来の注疏分刻の慣習を変えました。これらは、政府機関の図書刊行事業が先駆者の地位にあることを示しています。
晋 郭璞注
南宋(1127-1279)国子監刊本
故善 003311-003313
《爾雅》は中国最古の類語辞典・語釈辞典で、前漢の頃に編纂され、西晋の郭璞が注解を加えた。唐代国子監が初刻、北宋国子監が覆刻したが、現存しない。本書は南宋国子監覆刊北監本で、唯一の現存本である。
漢 班固撰 班昭補 唐 顔師古注
宋紹興年間中期(1140-1160)両淮江東転運司刊本
平図 001125-001132
《漢書》宋朝南遷初期に版刻された経書と史書はいずれも北宋伝来本の覆刻本である為、北宋本の字体と同じであることが多く、避諱(古代、君主の名に用いられた文字を使うのを避けた)も一致する。唯、本書の文と注は南宋時代の他の諸版刻や後の各書に比べて遥かに精確である。
孟子註疏解経 十四巻五冊
漢 趙岐注 旧書題 宋 孫奭疏
宋嘉泰年間(1201-1204)両浙東路茶塩司刊元明遞修本
故善 014134-014138
《孟子註疏解経》この八行本群経注疏合刻本は、『周礼注疏』より遅れて編纂され、現存本はこれのみである。







