國立故宮博物院 大観―宋版図書特展
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展示図書解説

 

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洛陽紙貴:書坊牟利

宋代の版刻図書業には、官刻本の外、各地の書坊(出版社)が刻版した印刷本があります。所謂書坊とは、営利を目的とする個人経営による、書籍の生産と販売を主とする手工業者で、北宋中期頃から出現し、版刻・刊行の書籍の多くは市場の需要に合わせ、その中でも、科挙試験用の図書出版量が多くを占めました。これらの出版物は坊刻本と称されます。政府南遷後、江南地方の書坊は知識人の切実な需要及び景気の回復という時勢の下で、印刷図書の種類と生産量が増え、相対的な商業競争も激しくなり、その為、版権を表示し、商品広告意義がある「牌記」が出現しました。例えば、臨安の陳起父子が経営する陳宅書籍鋪や尹家書籍鋪は皆書坊商標の牌記が彫られ、建安の余仁仲の版刻である『春秋公羊経伝解詁』には、序文の後に書坊主の版刻の跋文が付けられ、当書坊の校勘の優秀性と信頼性を宣揚し、官刻本・家刻本とは違う趣きの、商店刻本の特色を示しています。

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春秋公羊経伝解詁 十二巻六冊
漢 何休撰
宋紹熙二年(1191)建安余仁仲刊本
贈善003089-003094

《春秋公羊経伝解詁》本書は、何休の序文の後に余氏の刻書跋が付されている。余氏とは建安で書坊を開いていた余仁仲である。この書坊名を万巻堂といい、南宋時代に最も知られた書坊で、多くの経書を文人たちに提供した。

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附釈文尚書注疏 二十巻十六冊
旧題漢 孔安国伝 唐 孔穎達疏 陸徳明音義
宋慶元年間(1195-1200)建安魏県尉宅刊配補元刊明修本
故善 014080-014095

《附釈文尚書注疏》本書は八行本を基礎とし、唐国子監博士の陸徳明による釈文を付したもので、釈文付き注疏の祖本である。巻一尾題に木記一行があるが、魏県尉その人の経歴は不詳である。書風から見るに、建安の地で製作された刻本と思われる。

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常建詩集 二巻一冊
唐 常建撰
宋(960-1279)臨安府陳宅書籍舖刊本
毎半葉十行 行十八字
故善 002015

《常建詩集》陳宅とは、陳起父子が開設した書坊を指し、南宋の首都臨安府の睦親坊に位置していた。唐・宋時代の知名度が高くない文人の詩集を専門に出版し、「書棚本」と称された。字体は美しく整い秀麗である。

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婺本点校重言重意互註尚書 十三巻六冊
題漢 孔安国伝 唐 陸徳明釈文
南宋(1127-1279)刊本
購善 002827-002832

《婺本点校重言重意互註尚書》これは科挙の参考書である。小ぶりの携帯に便利な寸法で、時には心がけの悪い者が懐に忍ばせ試験場に持ち込んでカンニング用にした。実用書であるが、現存するものは少なく、貴重なものである。