國立故宮博物院 大観―宋版図書特展
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特別展概説

木版印刷術は唐代(618-907)にすでに始まり、五代(907-960)にその基礎が打ち立てられ、宋代(960-1279)に入ってからは、製紙・製墨及び印刷技術の改良により、出版事業が目覚しく発展しました。中央と地方政府が図書の編纂と出版に力を注いだだけでなく、民間の書店や刊行出版社も競って図書版刻の列に加わりました。

しかし、歳月が経つに連れ、宋代版刻の図書は次第に散逸し、明代(1368-1644)中期末には、文化界での古風を好む風潮の中で、多くの好学者や蔵書家は、伝世の宋版図書数量の減少や、当時の版本との相違を発現しました。それ以後、宋版図書は稀を以って貴とするという価値観のもとに、それに対する魅力が日に日に増し、蔵書家などは更に「佞宋」・「宝宋」という夢中心理になり、財力を惜しまずそれを蒐蔵し、捜し求めました。

宋版図書は時代的にまだ以前の底本刊行の時代からさほど隔たっておらず、比較的に原本内容に近く、知識を記載する道具としての文献学上の価値があります。又、宋代人の図書版刻の態度は厳しく、校訂は慎重で誤植が少なく、宋版図書は校勘学上においても深い意義があります。更に、宋代版刻の字体は唐代書道家の楷書に源を置き、端麗で優雅であり、後世の規格化された「宋体字」と対照すると、宋版図書の美感は言葉では比喩出来ない芸術性もあります。

版面形式から見ると、宋版図書は開版の設計、行款(印刷体裁)と文字寸法の均衡、版心(版口・柱)魚尾と匡郭(枠・辺欄)の実用性と装飾性、及び版刻技術者署名という費用計算メカニズム、或いは版権を表示する書店・出版社の標記は、皆、後世の版刻印刷の手本になりました。又、仏教経典の装丁も手巻方式から、現在でも使用されている経摺方式に変りました。今回の展覧会では本院収蔵の二百種の稀覯本の中から、二十余種を選び、四つのテーマに分けて展示し、宋代の燦然で優雅な出版文化を呈現したいと思います。

今日、書籍はデジタル化形式の時代に入り、インフォーメーションは即座に検出できます。しかし、再度一千年前の一刀一筆に真心が込められた匠の苦心を回顧すると、宋版版刻の工芸技術にはやはり魅了させられるものがあります。