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残された足跡─印鑑の使用
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印鑑は初め複製のために用いられ、「証明」もその内に含まれていました。古代は封泥、陶器、または銅器や絹織物にも押印しましたが、やはり封泥が最多数です。

紙の使用が一般的になった後、朱の印記が各種書画作品に散見されるようになり、各朝各年代に数多く見られます。「押印」は所有者の所有欲を表す必須の足跡となったのです。

書画家が落款を押して題を入れるという行為の下、姓名印によって「証明」するという旧習は避けられず、作品の前に「引首章」を加え、右下に「押角章」を添えるなどして全体の美感を高め、書、画、印を一体化させたのです。

伝世の書画作品に見られる印記は、原印が不明のものが多く、印石本体があったとしても、朱肉で押された印があるとは限りません。何紹基、翁同龢、張大千、溥心畬、譚延闓、王壯為など諸家の収蔵碑拓や書画作品上には、はっきりと残された心を結ぶ印の跡が見てとれます。印鑑の持ち主が印を手にして朱肉につけ、心を込めて捺印した様子を想像すると、自らも書斎に身を置いてともにその楽しみを分かち合っているかのようです。

清 翁同龢 隸書五言聯
清 翁同龢 隸書五言聯
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清 翁同龢 叔平両面印
清 翁同龢 叔平両面印
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