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印章大観─各種印材と印鈕(いんちゅう)
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印鑑とは何でしょうか。「印身」、「印面」があり、複製可能で(繰り返し印文が押せる)、真偽を見分ける根拠となるものを印鑑(印章)といいます。

世界的に見ると、印鑑はすでに五千年もの歴史を有しており、西方のチグリス、ユーフラテス川流域、エジプト、インドでも印鑑の使用が見られますが、中国でのみ三千年の時を経ても廃れることなく、上は篆刻芸術の頂点を極め、下は一般的な印鑑として民間に普及し、日本、韓国へも広く影響を及ぼしました。優雅な伝統的読書人たちに認められ、篆刻は早くから古詩や書法、絵画と組み合わされて、文人必須の四大素養となりました。

印鑑の素材は多岐に渡ります。銅、陶磁、琉璃は鋳造するか窯で焼成し、その他、玉、石、牙、骨、竹、木、サイの角などは、いずれも自然から得た素材を整形した後、加工したものです。

「印紐(いんちゅう)」とは、印身の一部分です。古くは捺印に便利なよう印綬(印鑑を下げる組みひも)をつけ、後に印身の高さが増して持ちやすくなり、先端部のつまみをさまざまな形で装飾し、より表情豊かなものとなりました。晩期の石章や彫刻した平鈕、自らの心情を表現したり、上品な装飾が施された印身には深い詩意が感じられます。

多種多様な素材─印材

中国の印鑑の起源は三千年以上前まで遡ります。初めは身の回りにあった粘土や硬石に模様を刻み、それを押して模様や記号を複製しました。後に各種の玉石、牙、角、竹、木材など、さまざまな素材を用いるようになりました。明、清代に至ると、福建の寿山石、浙江の青田石、鶏血石などが、篆刻家に最も愛される印材となりました。

銅印は、鋳造や彫刻など多くの工程を経なければならず、真偽を見分ける際の根拠とし、偽物を防ぐという前提の下、戦国時代から現在まで政府は銅を主な印材としてきました。陶磁印は、宋、元代以来、焼き物の隆盛にしたがって文人の書斎閒章(格言や詩句などを刻印した印)にも見られるようになりました。

銅印
銅印
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翠玉印
翠玉印
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印綬を解いて─印鈕

魏、晋代以前の銅印、玉印は印鈕の様式により官位を表し、印綬を結んで身に付け、印泥をつけるのに使いました。鼻鈕、壇鈕、瓦鈕、亀鈕、駝鈕など、多彩な変化に富んでいます。隋、唐代には、朱肉に変わり印身も大きくなり、印鑑を身に付けることもなくなったため、印鈕も高く突き出した直鈕、柱鈕などに変化しました。文人たちが使う印鑑の印身はしだいに高さを増して、各種の動物や異獣、人物などの立体的な彫刻を施した印鈕や平鈕となり、さらには印身に自らの情感を巧みに表現し、山水や花々、自然の風景など、一層の興趣を添えました。

民国「千千千」石印
民国「千千千」石印
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鴛錦雲章.循連環.初讀
鴛錦雲章.循連環.初讀
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