セレクション
明 戴進 春遊晩帰 軸戴進(1388-1462年)は、浙江錢塘の人。字は文進、又は玉泉山人と称した。推挙されて宮廷画師となる。画風は南宋の馬遠・夏珪と元朝の李成・郭熙等の画派を融合したものを踏襲し、明代において浙派山水画の様式を打ち立てた。
本作は、夕暮れ時の田んぼの小道を農夫が、鋤を担いで家路につく姿があり、前景に庭院が描かれており、壁の外にまで伸びた枝と道端の赤い桃の花が春の気息を醸し出している。一人の士人が門を叩いているところで、庭院にいる下男が提灯を下げて主人を迎えようとしている様子は、この家の主人の「晩帰」の詩意を表している。この作品は南宋時代の馬遠、夏珪の様式を基調としていながらも、筆墨は生き生きとして変化に富み、載進の画風をあらわす代表的作品である。載進が北京にいた頃の作と推測できる。
絹本 設色 167.9 x 83.1㎝
明 林良 秋鷹 軸
林良(約1424-1500年後)、広東南海の人。字は以善。主に天順(1457-1463)、成化(1465-1487)前期に活躍する。豪放的な沒骨法による生物の動感を得意とし、辺文進の後継として明代宮廷における最も重要な花鳥画家の一人である。
雄鷹が背を向けて急降下し、鋭い眼光で獲物を見つめ、追いかけられるは叭々鳥(ハハチョウ)が驚き慌てて逃げようとする様子が描かれている。素早いい筆墨の描写によって画面に横たわる枝、その周りを飛び回る雄鷹、そして跳ねるような点景の葉の呼応が、さらにこの場を手に汗握る緊張した雰囲気を表している。
絹本 設色 136.8 x 74.8㎝
明 呂紀 杏花孔雀 軸
呂紀(1439-1505)、字は廷振。号は楽愚、又は楽漁と称す。明代成化朝晩期に宮廷へ入り
(1470-1480)、弘治朝(1488-1505)に孝宗の高い評価を得、その作品は孝宗時期の絵画趣向を表すものの一つとされていた。
画中には優雅な花をつけた杏の下で憩う一対のそれぞれ異なった様子の孔雀が描かれいる。その周りには満開になった紅白の牡丹の花や、梢にとまる雀など、画面には華麗で細やかな色が遣われており、優雅であり華やかさを失わない光景が表されている。杏花は春を象徴し、孔雀と牡丹は富貴の意を示している。また「雀」と「爵」は同音の文字であることから、高官の地位であることも暗示している。華麗で豪華な表現にさらに吉祥の意も添えられた作である。
絹本 設色 203.4 x 110.6㎝
伝 明 陳淳五鹿図 軸(明 汪肇五鹿図 軸)
本作は、明代の画家陳淳(1483-1544)の作とされていた。しかしその画風が日本に収蔵されている汪肇〈松鹿図〉に近いことから、現在汪肇の手によるものと推論されている。汪肇(十六世紀前期から中期に活躍)、字は徳初。号は海雲、安徽休寧の人。1519年以前は南京を中心に発展した。
濃い霧が一面に広がった山野の間にたたずむ五匹の鹿が、お互い寄り添って辺りを見まわしている。粗く素早い筆遣いによって、周囲の松、石、草花、雲、靄が描かれ、雲海の描写を得意とした汪肇の奇妙な変化の雰囲気がよく表わされている。鹿と松の組み合わせには、長寿と吉祥の意が含まれている。
絹本 設色 152.5 x 202.2 ㎝
