龍泉窯は中国浙江省龍泉県からその名を得ており、浙江南西部に存在した数百カ所の窯場で生産された青磁の総称です。また、旧時の処州にあったため、龍泉窯は別名「処州窯」とも呼ばれています。宋代には既にしっとりとした美しい碧緑の磁器として伝統を確立し、元明両代に至っても製作され続けました。海外でも広く人気を集め、ヨーロッパでは劇中の美男子「celadon」と称されていたほどです。
薄い胎土と潤いのあるパステルブルーが美しい宋代の龍泉窯、および重厚で作りの大きい元代の龍泉窯は、早くから陶磁鑑賞家より重視されていました。本展覧では、主に清代宮廷に収蔵されていた明代龍泉窯の青磁を展示し、宮廷用の磁器や文人の賞玩物、貿易賞賜などの特殊性についてご紹介します。 明代の龍泉窯の中で最も注目されたのが、潤いと厚みのある碧緑色を呈した作品です。整った形と一面に彫られた複雑な図案が特徴で、特に工夫を凝らして作られた精良品であったことがうかがえます。また、風格は景徳鎮の時期のものと類似しています。その産地、年代、意義については、これまで謎とされてきましたが、近年、龍泉の大窯区で同じような青磁を焼成した窯場が発見され、明代前期の龍泉窯が朝廷の監督の下で官用磁器として製作されていたという文献に記された史実が裏付けられました。明代中期以降になると、龍泉窯の釉色はますます薄くなり、彫刻技術と品質も衰えていきましたが、龍泉窯は景徳鎮以外の重要な窯場であり、文人や商人、官吏が普段使用する装飾品を供していました。 龍泉窯は明代朝廷が朝貢貿易を掌握するために、外国へ賞賜した重要な産物でもありました。アジアやアフリカ、欧州地域の古跡や宮廷収蔵品の中に、今もなお明代の龍泉磁器を見ることができ、各地がその模造を通して磁器産業を確立する原動力ともなりました。このため、龍泉青磁の美しさは、世界公認の美であると言えるでしょう。 |


