彭楷棟氏は波瀾万丈の生涯を送りました。
彭氏は台湾の新竹に生まれ(1912)、若いころはビリヤードに熱中し、15歳の時に生計をはかるため日本へ渡りました。台湾と日本の間を行ったり来たりしていましたが、その後日本に定住。赫々たる学歴こそありませんでしたが、その非凡な勇気と努力、そして独自の優れた眼識により社会の名流と広く良好な関係を築きあげ、物流、宝飾、飲食、画廊、ビル賃貸などさまざまな事業を手掛け、ついには日本長者番付十三位に名を連ね、文物を収蔵する財力を得るまでに至りました。
第二次世界大戦後(33歳)、芸術品や文物は不穏な情勢の流れの中で、市場に大量に放出され、彭氏はその美しさに魅了されました。これが彭氏が骨董品に関する収集や交流を始めるきっかけとなったのです。その後、収蔵対象は仏教の塑像へと移ります。彭氏の仏像収集への熱い思いは、その熱狂ぶりと執着ぶりからも伺うことができます。彭氏は世界中の展覧施設やコレクターを訪れては文物を参観し、さらに日本の同業者との交流を通じて知識を磨き、世界的な芸術品オークション会社から世界の名品を購入しました。このため、彭氏は生涯を通じて重要な名品を数多く扱うことになり、手にした宗教塑像は種類も豊富で、その上、広範囲にわたり、世界でも名の通ったコレクターとして知られるようになりました。
彭氏の仏像収蔵は、国立故宮博物院との長期にわたる密接な関係を築くことになりました。
彭氏は故郷への情念から、1987年に故宮にて「金銅仏教塑像特別展」を開催。1996年には金銅仏像32点を故宮博物院に譲り、2004年には銅鎏金塑像358点を故宮博物院に寄贈し、同時に「法象威儀-彭楷棟氏寄贈文物特別展」も開催されました。2006年に永眠した後も、その遺志に基づき銅鎏金塑像48点が故宮博物院に寄贈されました。
このたび遺贈された文物は数も少なく、小ぶりな作品ばかりですが、彭氏が収蔵したコレクションの縮図であると言えるでしょう。彭氏遺愛のコレクションと仏像の美しさをより多くの人々に観覧してもらうことを願い、故宮博物院は「威儀法象 風規弘既往」遺贈文物特別展を開催し、彭氏の仏教美術塑像におけるすべての貢献に感謝の意を表したいと思います。
本遺贈展の一部経費を賛助してくださった明基電通股份有限公司(BenQ)に感謝いたします。
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