印刷 転送   フォントサイズ:小標準大

玉器


翠玉白菜
長18.7cm、幅9.1cm、厚さ5.07cm

人気
1841
Recommand
本物の白菜そっくりそのままともいえるこの作品は、翠玉(翡翠)を彫刻して作られたものである。わかりやすい題材、清く真っ白な部分と緑の葉、いずれも身近で親しみやすさを感じさせる。葉の上に留まっている二匹の昆虫を見るのも忘れないでほしい。この昆虫は多産を象徴するキリギリスとイナゴである。この作品はもともと紫禁城内の永和宮に安置されていた。永和殿は、光緒帝の妃であった瑾妃の寝宮であったことから、清らかさを象徴し、多産を願う瑾妃の嫁入り道具だったのではないかと推測する者もいる。翠玉という素材と白菜の造型は清代中晩期の流行であるが、白菜と昆虫という題材は、元代から明代初期の職業画家による草虫画の中によく見られ、民間で長きに渡って喜ばれた吉祥を象徴する題材であった。その他、キャベツ類の野菜は、唐代の詩人・杜甫が政治環境の劣悪さを述べるのに用いたことがあり、埋もれた才能の暗喩となっている。文人画の伝統では、やはり絵画の主題として引用されて類似の心情を表現し、為政者の愚かさを暗に諌めている。乾隆40年(1775)に書かれた「題和闐玉鏤霜松花挿」という御製詩には、皇帝である乾隆帝がキャベツ型の花挿しを見た際、杜甫の詩にある、「花園の野菜が庭園の管理をする園吏に見向きもされないのを見て、皇帝の人を見る目の無さを隠喩する」という伝統を連想して危機感を抱いた。詩云「和闐產玉来既夥、呉匠相材製器妥。仿古熟乃出新奇、風気増華若何可、菜葉離披菜根巻、心其中空口其侈。挿花雅合是菜花、緋桃雪梨羞婀娜、民無此色庶云佳、芸諌或斯黙喩我。」しかし、宮廷工房の工匠であれ、翠玉白菜を製作した玉匠であれ、創意工夫と技芸を発揮し、出資者の好みに合わせた創作をしただけであったのは間違いない。が、関連資料の記載がないため、観る者に想像の余地が多く残されている。(文・施静菲)
facebook
twitter
plurk
前のページへ  トップページへ