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羅貫中による「三国演義」の虚実を織り交ぜたストーリー展開や人物の智恵と謀略の描写は、赤壁の戦いの精彩ぶりを余すところなく表現しています。しかし、三国と赤壁物語の形成は、晋代陳寿の「三国志」に始まり、その後の宋元時代の平話を融合した講談文学は、明代の小説家である羅貫中の「三国志通俗演義」に最高の史料を提供することになりました。

明清以降、三国物語の魅力に気付いた書坊業者は、文字に挿絵を添えて販路の拡大を図るようになります。さらに一部の書坊では李贄、鍾惺、李漁、毛宗崗など著名人に批評を書かせ、小説の社会的地位と読者層を高めました。「三国演義」は明清時代の文人の最高の書物となり、李漁、毛宗崗などの批評家に「四大奇書第一種」、「第一才子書」とまで推賞され、当時「三国演義」が広く愛され一世を風靡していたことがうかがえます。

本コーナーでは各種「三国演義」の書坊が制作した挿絵と批評本をご紹介し、文人によって綴られ、民間によって語り継がれた三国物語の余韻を探ります。赤壁の戦いの怒濤の気風は、岸壁を打って散った後も、そのこだまを後世にまで伝え、今もなお語り継がれています。

新刊校正古本大字音釈三国志通俗演義 (New Window)

新刊校正古本大字音釈三国志通俗演義
明 羅貫中撰
明万暦辛卯(十九年)書林周曰校刊本
26×29cm
平図003195-003218

本書は明万暦年間、金陵地区の万巻楼書坊の主であった周曰の校本である。刊行までの過程は極めて謹厳であり、古本の購入、文字の校訂、圏点と音注、釈義と考証などを行い、同時に南京の著名な写刻職人である王希尭と魏少峰に彫刻を依頼しており、書坊刊本の中では最も質が高く精良なものである。

全十二巻で、二百四十回に分けられ、羅貫中の原作の章回に基づいて編目されているが、内容について潤色と修正を加えているため、より文雅で豊かなものになっている。本文の前に「三国志宗寮」を加え、三国の人物を紹介し、読者が各系譜について理解できるよう工夫されている。

各回の本文にそれぞれ一枚の挿絵が添えられ、計二百四十枚の版画が見開きで入っている。挿絵の上には回が表示され、両側には回の内容に合わせて文人による対になった詩文があり、舞台劇でおおまかな内容を観客に示す対聯に近いものがある。特筆すべきは木版の挿絵は線が粗く、人物の輪郭がはっきりとしており、動きに緊迫感があり、そして物語の山場を取り上げているなどの点である。例えば三十六回「夏侯惇拔矢啖睛」では、呂布の部下の大将、曹性に弓矢で左目を射られた夏侯惇が、目玉ごと矢を抜き取り「父の精、母の血なり、棄つべからざるなり」と叫び、左目を口に入れて食べてしまう情景が描かれている。羅貫中は誇張的かつ劇的な叙述により、陳寿が平面的に描いた「盲夏侯」を勇猛壮烈、血肉ある英雄として立体的に描き、後世に大きな想像の余地を残した。

その後の第五十四回「関雲長五関斬将」、および赤壁の戦いに関連した第九十四回「龐統進献連環計」、第九十八回「周公瑾赤壁鏖兵」などの筋は、職人の強烈な筆触と画風、および熟練した刀法と彫刻技術により、大胆で豪放な金陵版画の特色を余すことなく表現しており、当時南京地域で最も人気を博した三国小説の版本となった。

四大奇書第一種三国志 (New Window)

四大奇書第一種三国志
明 羅貫中撰 清毛綸、毛宗崗評
清光緒十四年刊本
24.6×29.5cm
贈善023015-023034

本書は清の毛綸、毛宗崗父子が羅貫中の「三国志通俗演義」を校訂したもので、毛評本と呼ばれる。同書の端に「四大奇書第一種」と題されているが、扉の牌記および版面には「第一才子書」とあり、書坊で二種類の書名を宣伝のために混用していたことがうかがえる。実際、最も早く「三国志通俗演義」を「四大奇書第一種」と命名したのは明末の李漁であり、残りの三書は「水滸伝」、「西遊記」、「金瓶梅」である。後に毛宗崗が明末江蘇の才子、金聖嘆が六才子書を批評した筆意に沿って、金聖嘆の盛名にあやかり「三国演義」を「第一才子書」とした。

同書の表紙内側の添紙には、光緒年間の上海の著名書坊-埽葉山房の牌記があり、「毛声山評三国志/第一才子書/埽葉山房蔵板」と記され、上方には「聖嘆外書」と題し、下方には「埽葉山房督造書籍」の朱文方印が押されている。毛綸、字は徳音、号は声山で、毛宗崗の父である。息子の毛宗崗は、字は序始、号は孓庵、江蘇長洲の人。この牌記から上海の埽葉山房では当時最も通行していた毛評本を採用し、ちまたで最もよく見かけられる版本であったことがうかがえる。

全十九巻、百二十回。本文の前に昭烈帝劉備、関壮繆、張桓侯ら計四十名の男女を単独で描いた人物像があり、その次には「宴挑園豪傑三結義」の図が見開き半ページの版面いっぱいに描かれ、その後に書坊の再刊の序がある。本書は李卓吾が二百四十回を百二十回に改めたものを流用しているが、本文は毛氏父子の削除訂正が加えられ、文雅で読みやすくなっているだけでなく、批評も添えられている。また、唐、宋および当時の詩人の詩文を採用し、本文の始まりには明の楊慎の〈臨江仙〉「滾滾長江東逝水」の詞を導入とした。流暢でわかりやすい文章が読者の人気を集め、今日最も広く通行している版本となっている。