展示概要
モンゴルとウイグル、チベットはアジアの内陸部に位置しています。この地域は高原と盆地が多く高緯度で地勢も高く、寒冷な気候です。雨量は一定しておらず、渓谷やオアシス周辺を除き、主に遊牧を中心とする畜産業により経済が支えられています。また、この地域には多種多様な民族が暮らしており、モンゴル族やウイグル族、チベット族がその大半を占めています。地理的環境や宗教、歴史などにおいて、農業を主要な経済活動とする漢民族とは大きく異なる、この地域特有の遊牧文化や芸術が形成されました。
<>17世紀になると、中国東北地方の満州人がしだいに西方及び南方へと進出し、大清王朝が建国されました。王朝の統治者となった満州人はあくまで北方の草原地帯で暮らす民族との共同統治を企図し、西南に位置するチベット高原のチベット族の掌握にも積極的に策を講じました。清王朝による軍の駐留や行政面の管理のほか、婚姻や宗教、年班などの手段により、この地域の統治を強めつつ、人心の掌握に努め、政権の地盤を固めました。
この度の特別展では清王朝とモンゴル、ウイグル、チベットなど、諸藩部間の往来や交流に関する文物の展示を中心に、人類学と物質文化という視点を出発点として、モンゴルやウイグル、チベット地域の遊牧文化の特質をご覧いただくとともに、文物本来の芸術的特色や各種文物が伝える文化についてもご紹介いたします。