展示概要
一般的に「道家」と「道教」とは相互関連しているとの認識であり、異なる概念であり、両者は同じものではないと考えられます。「道家」とは、先秦の黄老学派を代表する老荘思想を含む百家学派の一つであり、「道」を究極の境地とし、「清浄な無為」の原則に基づき身体の修行だけではなく、国を治める方法としても使われています。「道法自然」の概念を通して、人と内外天地の間との関係も対応しました。「道教」とは宗教であり、「道」を教化したり修行したりすることで「仙人になり道を得る」という宗教の目的を達します。道教は宗教としての経典、教義、制度、儀式を加え、各教派と道観は歴史とともに発展してきました。このような具体的な宗教の伝承は、初期の黄老学派や方士思想とは明らかに異なっていますが、「道家」は「道教」の信仰理論のみなもとであるため、両者を分けるわけにはいきません。
「四庫全書」の主編である紀曉嵐は、道家を「綜羅百代,廣博精微(あらゆる時代を網羅し、広範かつ精微なもの)」と称します。この特徴は、道教の1800年にわたる発展過程にも反映されており、先秦の老荘典籍を取り込むことから、長期にわたる宗教活動を経て、その間に漢代以降の方術、数術、讖緯、そして仏典までに取り込みられ、教義、戒律、内外修行、齋醮科儀などに関する多種多様な経典を生まれてきました。
隋唐から北宋時期にかけて、皇室や貴族による道教への崇敬から、道教信仰は盛んになり、社会的な影響も大きくなりました。その際、道教の義理思想、練気養生、符籙呪法、科儀規章なども完備になっています。晩唐から北宋以降、主に内丹修行を中心とした金丹道派が堀起しました。南宋や金元時代には、北方には全真道・太一道・真大道など新しい道派が現れ、南方には神霄道・清微道・淨明道なども現れました。明代では、多くの皇帝が道教と密接な関係を持っており、例えば永楽帝と嘉靖帝です。清代に入ると、皇室の信仰は主に仏教を向け、道教の発展は段々衰え、それが明代との大きな違いです。
国立故宮博物院所蔵の道教典籍は元明時代が最も多く、数量は仏教経典のほどではありませんが、貴重な「蔵内府」の孤本も欠かせません。本展覧では、「根本道経」、「道典精選」、「帝王と道」、「養生延寿」ー四つのコーナーに分けて展示を行います。