展示概要
国立故宮博物院では民国100年(2011)より「清院本清明上河図」など、故宮所蔵の書画作品6点の高画質動画を、1080pフルHDプロジェクター4台を用いて放映しております。書画の長巻に似せた画面には継ぎ目や切れ目がなく、長さ8mもあるテクノロジカルな絵の世界に身を置いて、長巻に描かれた中国絵画の境地を体験していただけます。こちらの展示では故宮所蔵の書画の名品6点─「清院本清明上河図」、「清 徐揚 日月合璧五星聯珠図」、「明 仇英 漢春暁」、「明 文徴明 倣趙伯驌後赤壁図」、「明人画 出警図」と「入蹕図」、「清院本十二月令図」をご覧いただけます。史料から得た発想をもとに、原作の名画6点に忠実に制作されたすばらしい動画作品です。
この度は「清 徐揚 日月合璧五星聯珠図」を放映いたします。乾隆25年(1761)末、当時の天文台である観象台欽天監が翌年の正月元旦(1761年2月5日)に「太陽と月が同時に昇り、金木水日土─五つの星が連なる」という特異な天文現象が起こることを予測しました。それはこの一年が「世は太平となり、豊作に恵まれる」であろうことを示すものでした。この作品は、皇帝の命を受けた徐楊がこの稀に見る特殊な天文現象を絵図として記録したものです。新年の元旦には文官、武官ともに宮廷に参内して皇帝に新年のご挨拶を申し上げ、市井の庶民もまた年始の挨拶回りに出かけました。画中には観象台、胡同合院、牌楼城門などが詳細に描かれているほか、礼装や乗り物、商店など、町中のさまざまな風景も見られ、北京の町の様子や風俗があますところなく描写されています。